「忘れよう」とするほど、忘れられない
「もう、このことは考えないようにしよう」
そう決めたのに、なぜかその記憶だけが、何度も頭に浮かんでくることありませんか。
シャワーを浴びていても、家事をしていても、ふと現れる。
「私は、なんでこんなに切り替えが下手なんだろう」
そう感じてしまう方も、いるかもしれません。
でも、それは、切り替えが下手なわけではありません。
「忘れよう」とすること自体が、脳にとっては、その記憶をより強く残す働きをしてしまう。
そういう性質が、もともと備わっているのです。
「考えない」は、一度「考える」ことから始まる
少し、想像してみてください。
「梅干しのことを、考えないでください」
そう言われたら、どうなるでしょうか。
おそらく、頭の中に梅干しが浮かび、口の中が少し、酸っぱくなったのではないでしょうか。
「考えない」という指示を実行するためには、一度、「梅干し」を思い浮かべる必要があるからです。
辛い記憶も、同じです。
「あのことは、もう考えない」
そう決めた瞬間、私たちはすでに、一度そのことを思い浮かべています。
そして、その後も、「今、考えていないか」を、頭の中でずっと見張り続けることになります。
この「見張り役」が、厄介なのです。
頭の中の「見張り役」が、ずっと働いている
「忘れよう」と決めると、頭の中には、2つの役割が生まれます。
1つは、「他のことに意識を向けようとする役割」
もう1つは、「ちゃんと考えていないか、見張る役割」
普段は、1つ目の役割がしっかり働いてくれるので、自然と他のことに意識が移っていきます。
ところが、
- 疲れている時
- 心配なことが多い時
- 余裕がない時
には、1つ目の「意識をそらす役割」が、うまく働かなくなります。
すると、2つ目の「見張り役」だけが残ります。
見張り役は、「考えていないか」をチェックするために、ずっとその記憶のことを意識し続けています。
つまり、見張り役が頑張れば頑張るほど、その記憶に意識が向き続けてしまうのです。
辛い記憶ほど、この状態になりやすい
辛い記憶を「忘れたい」と思う時、私たちは、すでに少し疲れていたり、心に余裕がなかったりすることが多いものです。
つまり、
- 忘れたいと思う
- でも、すでに疲れている
- 「意識をそらす役割」がうまく働かない
- 「見張り役」だけが残る
- その記憶に、ずっと意識が向いている
- ますます、記憶が浮かんでくる
という流れが、起きやすくなります。
これは、誰にでも起こることです。
「私だけ、なぜか変わらない」と感じる時、実は、こうした脳の働き方が関係していることが、よくあります。
では、どうすればいいのか
「考えない」ことを目指すのではなく、別のやり方があります。
1. 「今、考えているな」と、ただ気づく
無理に追い払おうとせず、
「あ、今、あのことを思い出しているな」と、ただ気づくだけにしてみてください。
見張り役は、「考えていないかチェックする」ために働いていますが、「今、考えているな」と気づくことは、見張り役の役割とは少し違う、新しい関わり方です。
2. 何か出てきたな、と思ったら、楽しいことを妄想する
「考えない」というのは、実行するのが難しい指示です。
それよりも、辛い記憶が浮かんできたときに、
「あ、出てきたな」と気づいたら、
そのまま、楽しいことを思い浮かべてみてください。
好きな食べ物のことでも、行きたい場所のことでも、なんでも構いません。
「考えない」ではなく、
「楽しい方に意識を移す」。
それだけで、見張り役の働き方が、少しずつ変わっていきます。
最後に
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