嫌なことから逃げると、
その場では楽になります。
苦手な人と距離を置く。
つらい仕事を辞める。
面倒な問題を後回しにする。
どれも、
それだけで悪いことではありません。
むしろ、
自分を守るために必要な「逃げ」もあります。
それなのに、
「場所を変えたのに、また同じようなことが起きた」
「相手は違うのに、なぜか同じことで悩んでいる」
そんな経験をする人もいます。
なぜでしょうか。
逃げると楽になる。その「楽」がポイント
認知科学や行動科学では、
苦痛や不安を避けた結果として、
その行動が繰り返されやすくなる現象が知られています。
たとえば、
人間関係で嫌なことが起きたとします。
その場から離れる。
すると、
嫌な相手と顔を合わせなくてよくなる。
不安もなくなる。
気持ちも少し楽になる。
この「楽になった」という結果が、
次の行動に影響します。
「嫌なことが起きたら、離れればいい」
という学習が起こりやすくなるのです。
行動科学では、これを負の強化と呼びます。
ここでいう「負」は
悪いという意味ではありません。
不快なものが取り除かれることで、
その行動が強まりやすくなる、という意味です。
回避すると、経験できないことがある
回避行動の問題は、
逃げることそのものではありません。
その状況に対して、
「別の方法を試したらどうなるか」
を経験する機会まで失ってしまうことがあります。
たとえば、
本当は
「嫌です」と言えば済んだかもしれない。
本当は
相手に自分の気持ちを伝えれば変わったかもしれない。
本当は
少し時間を置けば解決したかもしれない。
でも、その前に離れてしまう。
すると、
「自分はどうすればこの状況を変えられるのか」
という経験が増えません。
そして次に似た状況が起きたときも、
以前と同じ反応を取りやすくなります。
だから、「同じことが起きている」というより、
似た状況に対して、自分がいつも同じ反応をしている
という見方もできます。
「逃げ癖」と決めつけない
ここで、
「私は逃げ癖がある」
と自分を責める必要はありません。
逃げることで、
自分を守ってきたのかもしれません。
大切なのは、
今も、その方法が必要なのかということです。
過去に役立った行動が、
今の自分にも役立つとは限りません。
だからこそ、
いきなり行動を変えるのではなく、
まず現在の状態を見ることをおすすめします。
氣幸の原点は「現状観察」
氣幸で大切にしているのは、
まず現状を観察することです。
「逃げているからダメ」と判断する前に、
今、自分は何を感じているのか。
何が嫌なのか。
何を避けようとしているのか。
そして、いつもどんな反応をしているのか。
そこを見ます。
良い悪いを決めずに、
今の自分をそのまま観察すると、
「私は人間関係が嫌なのではなく、
断ることが苦手なのかもしれない」
「問題そのものより、
相手の反応が怖いのかもしれない」
「失敗することを避けているのかもしれない」
そんなことが見えてくる場合があります。
そこまで見えてくると、
選択肢が変わります。
逃げるしかないと思っていたところに、
離れる。
断る。
相談する。
伝える。
待つ。
別の選択肢が見えてくることがあります。
変える前に、見る
同じようなことが繰り返されるとき、
「どうすれば、この状況を変えられる?」
と考えたくなります。
でも、その前に、
「今、私はどう反応している?」と見てみます。
現状観察は、
何かを無理に変えるためのものではありません。
今の自分を知るためのものです。
無意識に同じ反応を繰り返すのではなく、
今の自分に必要な選択をすること。
もしかすると、繰り返されていたのは「出来事」ではなく、
自分の反応だったのかもしれません。
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