可能性は、いつもそこにあった ― 見え方を変える脳の仕組み

「常識人」だと思っていた自分

もしかしたら、あなたの毎日にも、まだ気づいていない可能性が、すでにそこにあるのかもしれません。

長い間、私は自分のことを「常識人」だと思っていました。

人に迷惑をかけない。
空気を読む。
周りに合わせる。
「こうあるべき」を守る。

それが正しい生き方だと、疑いもなく信じていました。

けれどある日、ふと自分に問いかけてみたのです。

「その常識、本当に自分のもの?」

問い直してみると、その多くは親や学校、職場、世間から受け取った価値観でした。

自分で選んで生きているつもりが、いつのまにか誰かの「当たり前」を、自分の人生として生きていたのです。

さらに驚いたのは、その先でした。

自分の思考をひとつずつ見つめていくと、「こうしたい」という自分自身の希望が、ほとんど見当たりませんでした。

頭の中を占めていたのは、

こうしなければならない。
こう思われてはいけない。
こう生きるべきだ。

自分の思考の中に、自分自身の希望はほとんど存在していなかったのです。


見ているようで、見えていないという現象

少しだけ試してみてください。

目を閉じて、今いる部屋にある「赤いもの」を5つ思い浮かべてみてください。

……

思い浮かんだら、目を開けて部屋を見渡してみてください。

「あ、こんなところにも赤いものがあった」

そんな発見はなかったでしょうか。

赤いものは、最初からそこに存在していました。
それなのに、私たちは気づいていなかったのです。

これは決して珍しい現象ではありません。

脳は目に映るものすべてを認識しているわけではなく、「必要だ」と判断した情報だけを選んで受け取っています。

つまり私たちは、目で世界を見ているようで、実際には脳が選び取った世界だけを見ているのです。


人生にも、同じ仕組みが働いている

この仕組みは、人生にもそのまま当てはまります。

もう遅い…
私には無理…
どうせ変わらない…

そう思い込んでいると、その考えを裏づける出来事ばかりが目につくようになります。

一方で、新しい可能性や人とのご縁、小さなチャンスは、たとえそこに存在していても、見えなくなってしまうのです。

認知科学では、この「存在しているのに認識できない状態」を「スコトーマ(心理的盲点)」と呼びます。

見えないのではありません。
見えていないだけ。

この違いは、決して小さくないと私は思っています。


本当に見えていなかったもの

振り返ってみると、私が見えていなかったのはチャンスではありませんでした。

自分自身です。

本当は何を望んでいるのか。
どんな人生を送りたいのか。
誰と生きたいのか。

そうした一番大切なことが、「こうあるべき」という価値観の奥に、ずっと隠れてしまっていました。

だからこそ、未来ではなく、過去の延長線上でしか人生を考えられなかったのです。


見える世界が変わると、人生も変わっていく

認知科学では、「現実は過去ではなく、未来によって見え方が変わる」と考えます。

未来に「こう生きたい」というゴールが生まれると、これまで見えていなかった情報や出会い、学びが、少しずつ目に入るようになっていきます。

なぜ、そんなことが起きるのでしょうか。

先ほどの「赤いもの探し」を思い出してみてください。

「赤いものを探そう」と意識した瞬間から、脳は赤いものだけを拾い始めました。

これと同じことが、ゴールでも起きています。

「こう生きたい」という未来が一つ定まると、脳はその未来に関係のある情報を、無意識のうちに拾い集めるようになるのです。

今までは目に入らなかった本のタイトル、
人との会話の一言、
ふと目にした求人や講座の案内、

それらは、ゴールを持つ前から、ずっとそこにあったものです。

ただ、探す理由がなかったから、拾われなかっただけなのです。

つまり、ゴールとは「頑張って近づくもの」ではなく、「脳に探させるスイッチ」のようなものだと、私はとらえています。

現実が変わったわけではありません。現実の見え方が変わったのです。

「人生を変える」とは、新しい自分になることではなく、本来の自分が見えるようになることなのではないかと、私は思っています。

もし今、「もう遅い」「私には無理」と感じているなら、一度だけ、自分にこう問いかけてみてください。

「その考え、本当に自分のもの?」

その問いから、新しい景色が見え始めるかもしれません。

ここまでお伝えしてきた「見え方を変える仕組み」は、実は私自身が、長年向き合ってきたテーマでもあります。


氣幸という、現代気功と認知科学を掛け合わせた視点

私は「氣幸師」として、現代気功と認知科学を組み合わせた「氣幸」という視点で、人と関わっています。

伝統気功というと、感覚や経験に頼るものだと思われがちです。

けれど、私が大切にしているのは、感覚だけに頼らないことです。

「なぜ見え方が変わるのか」「なぜ体や心がゆるむのか」を、認知科学の視点で説明できるかどうかを、いつも自分に問い続けています。

感覚は人によって受け取り方が違いますが、仕組みは誰にでも同じように働きます。

だからこそ、再現性を求めることで、「その時だけ良くなった」で終わらず、日常の中でも繰り返し使える形にできるのだと、私は考えています。

こうした視点を、これからも少しずつお伝えしていけたらと思っています。


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